私はTOEIC900を持っています。米国で10年働きました。それでも、会議で言葉が出てきません。
長いあいだ、これは英語力が足りないからだと思っていました。今は少し違う見方をしています。この記事では、私の場合に何が起きているのかを書きます。一人の経験なので、誰にでも当てはまるとは書きません。
何が起きているのか
会議で発言できないとき、言いたいことがないわけではありません。内容はあります。
出てこないのは単語です。ひとつ詰まる。探す。その数秒のあいだに、次の話題へ移っている。あるいは、上司が先に話し始めている。
そこで終わりです。言おうとしていた内容は、行き場をなくします。
つまり私の問題は、英語が出てこないことだけではありません。出てくるまでに時間がかかり、その時間が会議には無いということです。
逆に、話せる場面がある
同じ人間でも、比較的困らずに話せる場面があります。
- 相手が一人で、私にだけ話しかけてくるとき
- 画面を共有して、資料を一緒に見ながら話すとき
- 自分の専門分野の論点を深く詰めるとき
- 調べて答えるとき
- 「ここまではできる、これ以上は無理だ」と折り合いをつけるとき
これらに共通しているのは、待ってもらえることだと思います。
相手は私にしか聞けません。だから私が詰まっても、話は先へ行きません。数秒探しても許される。画面に資料があれば、言葉が出なくても指させます。専門の話なら、使う語彙の範囲が決まっています。
一方、複数人の会議では、沈黙は誰かが埋めます。私が探しているあいだに、別の人が話し始める。
同じ英語力でも、結果がまったく変わります。
会食がいちばん難しい
私にとって最も難しいのは、実は会議ではなく会食です。
雑談には、専門の語彙が使えません。「美味しい」から先が続かない。相手に料理を説明する側になれば、説明の言葉が要ります。宗教上の理由で食べられないものがある人もいて、確認の仕方も要る。
予測できないし、資料もないし、待ってもらえない。先ほどの三つが全部そろって欠けています。
TOEIC900は、この領域を測っていない
念のために書いておくと、私が受けたのはTOEIC L&Rです。読んで、聞いて、理解する力の試験です。
話す力は測っていません。そして私は、会話そのものを目的にした練習は、ほとんどしてきませんでした。発音の練習はしましたが、それは音を出すための練習で、会話の練習ではありませんでした。
さらに言えば、900というスコアも、当時何度か続けて受けた中で、一番良かった回のものです。安定して出していた数字ではありません。
だから、900あるのに話せないこと自体は、考えてみれば矛盾ではありません。少なくとも、L&Rの900点だけでは、その場で話せることまでは証明していません。
このあたりの経緯は、17年前の学習記録に今の自分が追記した記事にも書いています。
今の見立て
私の場合、こう整理しています。
- 言うべき内容は、ある
- 英語の知識も、まったく無いわけではない
- 足りないのは、それを制限時間内に取り出す速度
- 待ってもらえる場面では、この問題は起きない
だから「英語をやり直す」といっても、単語を増やすことや文法をやり直すことが答えなのかは、まだ分かりません。取り出す速度の問題なら、必要なのは別のことになります。
そこは、これから確かめるところです。
もし同じように「スコアはあるのに話せない」と感じている人がいるなら、どういう場面なら話せているかを数えてみると、何が足りないのか見えるかもしれません。私の場合、英語力の量だけでは説明できませんでした。