これは2009年に書いた記事です。当時の本文をそのまま残し、末尾に2026年の追記を付けました。
2009年の本文
「リスニング力を飛躍的に向上させる6つのコツ」の続編です。内容的にはリーディング力を上げる方法論になっています。
英語が出来ない、TOEICの点数が上がらない原因は主に2つあると思います。
- 英語を英語のまま理解できていない
- 国語力(日本語)の土台がしっかりしていない
英語を英語のまま理解するためにはどうしたら良いか
結論から言うと大切なのは、基礎的な英文法の理解と、英語を英語のまま読むための頭の働かせ方です。
リスニングにしてもリーディングにしても、英語を日本語に訳してから問題を解いていたのでは到底、高得点は望めません。漠然とTOEICの問題を解いていても英語を英語のまま理解する能力は付かないので、そのための訓練が必要になります。
訓練の流れとしては、まず最初に、英語の5文型や時制等、中・高校時代にあやふやにしてきた文法を徹底的に復習します。ちょっと大変かもしれませんが、基礎的な英文法をマスターする事は、英語を英語のまま理解するための大前提になります。
文章を読むための文法を身に付けた後、それを用いて、英語を英語のまま読む訓練をしていきます。英語を語順どおり読んでサクサクと意味を理解するにはコツがありますし、意識していないと一向にこの力は伸びません。
体系的に文法や英文を解説する能力は私にはありませんので、問題提起だけで、後は参考書に任せたいと思います。
TOEICの参考書にはなかなか良い本がありませんので、大学受験の参考書を強くオススメします。大学受験は層が厚いですし、伝統がありますので、英語の基礎的な力を身につけるという意味では、TOEICと比較にならないくらいの良書がそろっています。
オススメは下記2点です。
英語を読むための基本的な文法を身につける参考書
・『山口英文法講義の実況中継』(上下巻あります)
英語を英語のまま読むための頭の働かせ方を学ぶ参考書
・『ビジュアル英文解釈』(Part1、Part2があります)
この2冊があれば、高校で英語の勉強する必要は無いかもっていうくらいの名著。基本的な文法のマスターと、英文を頭から読み下していくための考え方を、高校生でも分かりやすく学べます。
大人向けの英語の勉強本や、TOEIC、TOEFL等の参考書は随分と読んできたつもりですが、この2冊が私の英語人生で最も役に立ったと今でも言えます。英語の偏差値が40台から直ぐに20以上伸びてびっくりした記憶もあります。
国語力(日本語)の土台について
日本で育ったからには、どうしても日本語をベースにして英語を学ぶ必要があります。日本語をベースにしなくても英語をマスター出来る日本人ももちろんいますが、幼い頃から海外に住んでいたり、両親が外国人だったりと特殊な状況にある人に当てはまります。
本物のバイリンガル(日本人の両親で、アメリカ育ち20年以上など)と話すとびっくりするのですが、彼らの特徴は日本語を使っている時と、英語を使っている時で人格まで変わってしまう事です。幼い子供が学ぶ方法と同じ方法で私たちも学ぶことが出来れば、このレベルまで達するかもしれませんが、大人になってからは難しいと思います。
ここで言いたいのは、私たち大人が学ぶ英語は、日本語を基礎としている限り、日本語のレベル以上にはならないという事です。英語学者や通訳等、英語が本当に良く出来るという人は日本語も達人レベルです。
読み手と聞き手
経営学者で有名なドラッカー曰く、人間には2つのタイプがあるそうです。「読み手」と「聞き手」に分かれます。
聞き手は、話を聞いて理解する方が得意で、文章を読むと頭に入らないらしいのです。読み手はその逆のパターンです。そのためペーパーテストという読み手に有利なテスト形式は、聞き手にとって明らかに不利です。この事は認識しておいた方が良いかもしれません。
ちなみに読み手、聞き手どちらが良い生活を送る事が出来るかは全く別問題です。ドラッカーが言うにはどちらのタイプでも大統領や大企業の経営者など成功者はいるので、人生においてどちらのタイプが有利か一概に言えないようです。自分がどちらのタイプに当てはまるか良く考えて、勉強するなり、仕事するなりした方が良いというのがドラッカーのアドバイスです。
私自身が典型的な読み手のため、リスニングにはかなり苦労してきました。
TOEICのリスニングパートで490点取れたのは、英語を聴いているだけではなくて、基礎に参考書での勉強や、洋書を読む習慣があった事は白状せねばなりません。不思議なことに、ある程度リスニングを続けていると、リーディングの力も伸びてくる気がします。ただ、どちらが先かと言われれば、TOEICで500点を取るまでは、リーディングの勉強と言わざるを得ません。
TOEIC900点以上を売りにした人のブログを読むと、やはり皆さん良い文章書いてると思います。文章の主部と述部のねじれが圧倒的に少ないのも、この人達が書くブログの特徴ですので、正しい日本語を書く姿勢とTOEICで高得点を取る事は、一見して関係ありませんが、実はかなり強く結び付いているのではないでしょうか。
2026年の追記
17年経って読み返すと、この記事は自分に刺さる。
一番大事だと書いたことを、自分で手放していた
冒頭で私はこう書いている。英語ができない原因は「英語を英語のまま理解できていない」ことだ、と。訳してから解いていては高得点は望めない、と。
そして2026年の私は、英語を英語のまま処理していない。
仕事の英文はAIに読ませている。書くほうも日本語で指示を出して、出てきたものを確認するだけだ。効率は上がった。ただ、17年前の自分が「これが一番大事だ」と書いた部分は、まるごと機械に渡してしまっている。
当時の自分に何か言われるとすれば、たぶんここだと思う。
参考書2冊の推薦は、今も取り下げない
『山口英文法講義の実況中継』と『ビジュアル英文解釈』。この2冊は今でも自分の英語の土台になっている。偏差値40台から20以上伸びた、というのも誇張ではない。
今なら文法はAIに聞けば教えてくれる。それでも、体系立った1冊を最初から最後まで通す経験は、断片的に質問して答えをもらうのとは違うものが残る気がする。少なくとも私には残った。
ここは訂正しない。
「日本語のレベル以上にはならない」——今もそう思う
大人が学ぶ英語は日本語の力を超えない、と書いた。
これは今も同じ意見だ。むしろAIを使うようになって、より強く感じるようになった。AIに指示を出すのも、出てきた英文が自分の意図と合っているか判断するのも、結局は日本語で考えている。日本語が曖昧なら、指示も曖昧になる。
読み手と聞き手——ここが今につながっていた
自分は典型的な読み手だ、と17年前に書いている。
そして今、会議で言葉が出てこないことに困っている。読むのはできる。書くのもできる。話す場面だけが極端に苦しい。
17年前の自分は、それを「リスニングに苦労してきた」と書いていた。当時は聞き取りの問題だと思っていたのだと思う。今になって思うのは、これは聞く・話すという領域そのものの話で、TOEIC490点を取ったあとも残っていたのかもしれない、ということだ。
読み手だから、と自分で納得していた面もある気がする。ただ、仕事で必要になるのは会って話すことのほうだった。
この記事の宛先について
タイトルは「TOEIC500点以下でもがいている人は何から始めるべきか」だ。
17年後、900点を持っている自分が、この記事を読んで刺さっている。宛先が自分に戻ってきた。
英語を英語のまま扱うこと、日本語の力、自分がどちらのタイプか。書いた内容そのものは、点数に関係なく効く話だったのだと思う。当時はそこまで意識して書いていなかった。